【歴史の】海風文庫〜帆船史話〜【勉強】
皆さんこんにちは海風文庫です。
寒いですね。最近、考える事が多いんですが特に良い答えが見つかる気配はありません。考えるのが好きなんで、あんまり苦にはなりません。
お腹は空きます(デブ)
そんな時は本を読むと頭の中が別の世界にわーーーーーってファンタジーになるのでとても好きです。
アマゾンで「帆船」で検索してもたいして本の種類は出てこないんですが、「海洋学」とか打つとたっくさん出てきます。今月もいっぱい買い物してしまいました。
最初のご紹介は日本の帆船研究の第一人者杉浦昭典先生の「帆船史話〜王国の海賊編」「帆船史話〜戦艦の時代編」
内容が洋書を翻訳したものではないので、とても読みやすく帆船の細かい決まりごとや船乗りがいまだに守っている習慣にも話が及ぶ、痒いところに手が届くマニアックな充実ぶり。おすすめです。
もう一つ!
「経度への挑戦」
地球が丸いとわかってから、緯度は早い段階でその基準と測定方法が確立されたのですが、経度についてはなかなか測定方法が確立できないでいました。
それにより多くの船乗りが自分の船の位置を見誤り、犠牲者が後を絶たない状態が続いていました。ヨーロッパ諸国、特にイギリスは船の安全な航行を最優先課題とし多額の懸賞金をかけてまで経度の測定方法の確立を目指し、その経度の測定方法に多くの天文学者が挑みましたが、答えを見つけたのは一人の無名な時計職人ジョン・ハリソンでした。
正確でどんな環境でも誤差の少ない時計を発明する事は当時は無謀とも言える挑戦で、ハリソンはたった一人でその課題に人生をかけて挑みます。
今ではクロノメーターといえば、高級腕時計の盤面の中に小さな盤面がいくつか配置されているものを想像しますが、本来は船舶の航行(経度の測定に使用出来る)に耐える基準を満たした精密時計の事を指しました。
どうして時計で経度測れるの?経度を計れないと何がいけないの?など、素朴な疑問もこの本の中に丁寧に描かれていて現在の船乗りが享受している安全な航海の基礎を確立した有名な船乗りの逸話や精密時計の開発に関わった航海の話もたくさん出てきて、海に思いをはせる事のできる、まさに海風文庫!!!名作だと思います。
寒い冬、なかなか海に出る事がハードルの高い冬ですが、海風文庫を手に取り、海や船に思いをはせるのもとても楽しい時間ですね。
カイ
企み中
スピリット・オブ・セイラーズ主催の新しい企画を企み中。
俺たちは企み中が多い(笑)
帆船事業をどんな形で成功させるか、どんな形で日本に根付かす事ができるのかを今はいろんな方向から検証している段階だからかもしれない。
しかし、そんなにのんびりとはやっていられないのも事実で、これからもどんどん企画を立ち上げていきたいとは考えているんです。
近いうちに、また皆さんに海を感じるイベントを開催したいなと思っています。
今感じている事は、海に出るって結構
ハードルが高いって事。
だから安全な陸上にいて海を感じたり。海に航海に出たくなるような機会は作れないかと色々試行錯誤しているんです。
今回、帆船バカのカイが企画を作るのはとても試験的な企画です。
テーマは「帆船の世界に触れてみる!船乗りの思考を知る帆船入門編」
・帆船て乗った事ないけど興味がある
・実際の船上で使うロープワークを体験して、習得したい
・実際の船乗りから海図の使い方を習い、海を渡る船乗りの考え方を知る
・海で安全に遊ぶための方法、安全意識についての話
・帆船で航海をするという事はどんな事なんだろう
ロープワーク教室と海図教室、ゲームを通して船の上で船乗りってどんな事を考えているのか?船上では一体どんな事が体験できるのかを陸上で体感できる機会を提供します。
どんな講座になるのか自分でも読み切れない部分が多い企画です。船乗りなんて陸にあがったらただの大酒飲みのカッパですからね。
近くイベントを告知できると思います。横浜での開催を予定しています。じきは来年の2月か3月、興味のある方、参加をおまちしています!
ヨットと帆船の違い
ヨットと帆船の違い
「ヨットと帆船は何が違うの?」深夜の中華料理屋。
よく聞く質問を受けた。
カイ 「同じですよ、セイリングボートですから。ヨットって言葉は本来は「個人が遊び用に使う船」というような意味で、モーターボートでも「ヨット」ですし、日本では小型のセイリングボートをヨットって呼んでますよね。」
「違うんですよ。カイくんがいつも話している、セイリングや、海の素晴らしさ、人との関わりや、成長の機会、自然科学への興味、生きる力をヨットでは体験できないのですか?という事です」
カイ 「できますとも。モーターボートでも、漁船でも、ビーチでも、居酒屋でもそれはできます。やり方は場所や、環境によって変わると思いますが。」
「ではヨットなら安くていいんじゃないですか?」
カイ 「うーん」「やはり帆船にこだわりたいですね。」
「なぜ?」
カイ 「乗船できる人数・航海の品質を守るためのスタッフの数・居住性・冒険心掻き立てられる外観・天候に左右されすぎない耐航性などです」
「うーん、帆船でなければならない理由が伝わってきません」
カイ 「うーん・・」
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そのあと帆船にこだわりたい理由を説明しようといろいろと言葉を尽くしてみたが、結局これだ!という納得は得る事ができなかった。
乗ってみると伝わりやすいんだけど、それじゃこれから乗った事ない人にアピールができないってことだよなア。
そのあと、「ヨットではダメなの?」という言葉が自分の中になんだか残った。
しばらく「ヨットは帆船とは違う」という気持ち「では何が違うのか」という事ばかり数日考えた。答えは割りとすんなり出た、
「やっぱり、帆船もヨットも大きく違う事はない。ただし、セイルトレーニングというものを実践するには帆船が良い。」
「ヨットは自分の感覚を投影・反映できるセイリングボートだ、難しい操船を覚え、自分の気持ちを操船に移す事ができるようになる事がヨットの面白さであり、気持ち良さ。ヨットの気軽さに繋がっていくんだと思う。」
「誰か一人の感覚をテキパキと動いて船に反映させていくことがチームワークなんだろうか。自分が感じる帆船は日本丸みたいに笛の号令でたくさんの人間が動く事なんだろうか。」
「帆船の主役は“人”だ」
「帆船に個人の感覚の投影をする事はとても難しい、というかそんな事をできるのはごく限られた人間だ。大勢の人間が一本のロープを同時に声を合わせて引き、同時に食事の準備、掃除、ナビゲーション、操舵、大勢のバラバラの気持ちが、大きな「航海をやり遂げる」という目標に向かって進んでいく感覚、たくさんの違う気持ちがぶつかったり、重なったり、一緒になったりができる、それは学園祭の準備だったり、どこにでも起こることなんだけど、帆船はそんな事が頻繁に、そして簡単に起きる。これは確かにヨットでも、モーターボートでもできるのだけど、とても作為的になってしまったり、天候の良し悪しに左右されすぎてしまったりする、ただ、大型の帆船のように人に対して笛で号令なんて絶対に出したくない。軍隊じゃないし。」
人が乗り、人が協力し、共感し、互いの違いを感じあいながら狭い船で大きな海を渡り、目的地を目指す。
「俺は帆船が好きだ。そこに起きる事が好きだ。だから俺の中ではヨットと帆船は原理も魅力も一緒。けれどそこに起きる事、出会える現象は違う。だから俺は帆船にこだわろうと思う。」
結論
帆船での大きな魅力は海の素晴らしさや、今までにない冒険的な経験ができる事による、成長であったり、純粋に楽しむ事ができるアクティビティーとしての存在です。
しかし、帆船が皆さんに提供出来る、他とは違うセールスポイントは「主役の自分に出会い、主役の他人と出会う事ができる時間を提供できる船」であると思います。
今の答えはこんな感じ。頑張って帆船事業作ります。
【腕を】訓練航海【磨こう】 訓練レポート!!
ブログをサボってすみません(´Д` )
先日、沼津で行われた帆船Amiとスピリット・オブ・セイラーズの合同トレーニング航海のレポートです。
担当は私、帆船バカ“カイ” トレーニング中のランチに胸が躍ります。
この合同トレーニング、
「帆船Amiにおいてのイベント・航海を安全かつスムーズに運航するために必要な技術・知識・思考・姿勢を養う。
トレーニングにはクルーメンバー自らが積極的に参加し、トレーニング自体の内容、効果、効率について常に参加メンバーにより検証を行い、安全運航の基礎となるトレーニング内容となるように努める」
ことを目的にして毎回テーマごとに開催されているのですが、どなたでも参加できます。
今回のテーマは、「航海計画」
技術・知識・思考のうち、知識と思考に重点を置いてのトレーニングです。
いつもなら朝から内浦湾に出港し、いろいろとトレーニングを行うのですが、今回午前中は座学!お勉強です。しかしそこは担当者が座学嫌いのカイですので、航海計画の立て方をダラダラと講義するつもりはありません。
少しだけ航海の歴史、海図についての基礎知識について説明を行い、座学本題に入ります。
実際に海図にふれて、簡単なストーリーに沿った課題をクリヤーしていくと、航海計画の立て方を体感できるようなゲーム形式の座学です。
初めて海図に触れるというメンバーも、ベテランのメンバーもみんな夢中です。
海図ゲームの課題では航海計画に自分の個性が出ます。それぞれに自分の航海計画を立て、発表していきます。あれ?自分の計画は他の人と随分違うなーという顔が参加メンバーに見られます。
そうです、個人の考え方、性格が顕著に反映されるのが“計画”です
互いの違い、自分の計画の特性、などを話し合いながら自分と今回の参加メンバーに理解を深めていきます。
航海計画の立て方、海図に対しての基本的な知識が身についたところで、午後のミッションの課題を発表です。
午後はいよいよ実技トレーニング、海に出ます。
課題はやっぱり「航海計画」
参加メンバー全員にくじを引いてもらい、くじにはそれぞれ“航海計画に反映し、航海中に必ず実行しなければらないミッション”が書いてあります。自分のミッションは他人に見せてはいけません。
口頭で伝え、一つの航海計画を全員で作り上げて下さいその計画を実際に帆船Amiで実行してもらいます!!
と言うことでお待ちかねのランチです。
沼津港、いつもご協力いただいている魚健さん特製マグロのホホステーキ丼ランチを心から楽しみます。
うめーーーーーー!!
参加メンバーもランチを楽しんでいるようでしたが、数人は時間をチラチラ。航海計画が気になっているようでした。
そうですミッションの中には出港時間の指定と帰港時間の指定がされているのです。早く航海計画を立て始めないと出港時間に間に合いません!
_φ( ̄ー ̄ )フフフ、丼が美味い
いろいろとメンバー全員がミッションを持っているはずですが・・・特に航海計画も立てることなく、船長役をじゃんけんで決めて出港です。
みんなウキウキしています。
船長役を任された参加メンバーは出港後も必死で航海計画を練っていきます。
しかしメンバー内でのミッションの共有、互いの役割の確認、航海に対しての目的などが共有されていないままでの出港なので何をしていくか、どんな順番でミッションをクリアーしていくか、計画は曖昧なまま航海が進み、ミッションを一つ一つクリアーしていくという方法での航海になります。
ミッションのボリュームはかなりの量なので、計画的にメンバー同士の役割を決め二つまたは三つのミッションを同時にクリアーしていかないと航海ミッション全てをクリアーできなように作られています。
“ロープワーク講座を行ってください”というようなミッションも
そのことに気づいたメンバーが計画の立て直しを試みたり、他のことに夢中になってしまうメンバーがいたり、必死で役割を守ろうとするメンバー。たくさんのことが起き、たくさんの失敗が起き、たくさんの成功があった訓練航海となりました。
メンバーの中に航海すること、航海計画を立てる意味が体験として残ったことに手ごたえを感じることができるトレーニング航海となりました。
無事に帰港し、ミッションの答え合わせ、なかにはミッションを捨ててしまった
メンバーもおり(笑)自分のトレーニングの作り方にも課題が残るなーと感じたり、互いに感じたこと、見えた課題、これからのトレーニング方針などを確認しあい、今日1日を振り返りトレーニングを終了しました。
少し自信がついた顔をしているメンバーや、思いがけない言葉をもらえたメンバーが印象に残りました。
帆船バカより
帆船で帆船をみにいく
シドニーに! エスメラルダが! きたー!!!
ということで、シドニー1の大型帆船、ジェイムズクレイグに乗って歓迎クルーズをしてきました!
エスメラルダはチリの海軍所有の帆船
世界中をまわっているので、日本でもみる機会があります
そしてジェイムズクレイグは元は荷物を運ぶのに使われていた船で、国立海洋博物館に停まっている全長100m近い大型帆船です
エスメラルダがシドニーに来る前から、ジェイムズクレイグがエスメラルダと併走する歓迎クルーズをすることは知っていましたが、その日はSoren Larsenの整備の予定
「見に行けないな..」
...と思っていましたが、前日の夜に突如船のリーダーに「見に行っていいよ!」と言われ、いそいで夜中の12時過ぎにクルーズの予約を取りました!やったー!
朝の4時に起きて島を出発し、ジェイムズクレイグの泊まっているハーバーに向かいます
なんて大きいんだ!
中は荷物を乗せるために大きな空間になっています
机の作りがすてき
モーニングティーにマフィンもすてき
外洋からシドニー湾に入ってくるエスメラルダを迎えに出航すると、平日なのに何隻ものヨットやクルージングボートが同じ方向に向かっていっています
そしてエスメラルダがやってきました...!
この日は風は弱いながらも向かい風
エスメラルダを迎えに来た船は横帆を畳んでいます
そんな中、シドニー湾に入ったエスメラルダは敬意を表して(たぶん)全ての帆を広げていました
かっこいい!
セイルをひらいた瞬間には、思わず感動しました(笑)
そして港が近づいてくると、全ての縦帆が同じ速度で閉じられていました
さすが海軍、訓練されてます
そしてこのクルーズの途中で、 「帆船で帆船をみにいくってなんて贅沢で面白いんだろう」
「日本でもこんなおもしろいことをしたいな..!!」
とおもいました
折角オーストラリアにきたのだから、スピリットオブセイラーズに合う素敵な帆船をさがしてみよう!
エリ
船上のプロポーズ
セイルを広げたらそこにはプロポーズの言葉が…!!
そんな映画のような船上のプロポーズが、私が今働いているシドニーの帆船でありました!!
一番下のセイル(バナー)に描いてある文字が見えるでしょうか?
先日のデイセイルにのったお客さんはデイセイル中に彼女にプロポーズをする計画で、事前にバナーを用意して、クルーもバナーを広げるタイミングを打ち合わせをしていました
「彼が跪いたら2人がバナーを広げて、4人がロープを引っ張ろう」
「きっと彼女はyesというはず…!」
「……言わなかったらバナーはすぐしまおう」
と彼同様にそわそわしながら、迎えた当日
彼が彼女を前のデッキに連れて行き、跪いてプロポーズをした瞬間にバナーを広げ…
彼女の答えはyes!
全クルーがホッとしました(笑)
お客さんの1人のご婦人が、彼が彼女にプレゼントした指輪を見せてもらい
「あなた、この指輪をみて!」
と旦那様を呼ぶコントの様な会話もあったり、プロポーズの後は船にいるお客さんもクルーも、みんながニコニコしてゆっくりクルーズを楽しんでいました
そしてこのときのバナーを、他のクルーも自分の彼女へのプロポーズに使えないかという話もでましたが、名前が入っているのでダメだ!ということになりました(笑)
そういえば他の日に、船で空を見上げると、そこにはプロポーズの言葉が…!
今プロポーズしたい人と一緒にいたら、メッセージを拝借して
「あなたへのメッセージだよ!」
と言えるのに!とちょっとくやしくおもいました(笑)
それにしてもオーストラリアの方は大胆でかっこいいプロポーズをするものだ、と思うこの頃です
エリ
言葉がいらない世界にきた
一番大きい帆桁に登ると背が足りないエリです
シドニーにきて1か月程たち、英語をおそれなくなってきた代わりに、日本語も英語もあやしいという状況になってきました(笑)
丁度1か月目に新人部屋、フォークスルから2人部屋に移動!アンカーチェーンの香りのしない部屋を新鮮にかんじています!
仕事もキッチン、見張りからバーまでやるようになってきました
バーをしながら頭上をマストクライムしていくお客さんの様子を観察
毎日新しい発見があって1か月が2年のよう!
3日前に100人のお客さんを乗せたクルーズののち夜の1時30にマストに登って帆を畳み、次の日朝からクルーズをしたので、オフの今日は体調を整えるべくデッキでゴロゴロしています
シドニーの帆船に乗ってからずっとかんじているのは、' 帆船では言葉より行動がものをいう ' ということです
誰も見ていないところでクルーズの後片付けをしてくれているクルーがいたり、洗いものをしないクルーがいたり(笑)
五カ国出身のクルーがみんな一緒に船で生活をして英語でなんとかコミュニケーションをとっているので余計、その人が何をいっているかより、何をしているかのほうが雄弁です
そして言葉がいらない、と大げさに題しましたが、逆に帆船にのったほうが英語が上達するね、と私より先にSoren Larsenで働いていた日本人の女の子と話したことがあります
言語を習う為の学校に行くより、一緒にロープを引く為に「ここを引っ張って!」と伝えるほうが話す必然性が高いからです(笑)
言葉はいります(笑)
でもいらない世界だなともかんじています
金曜日の5時過ぎから日曜日には海に沢山のヨットがでてきて、50艇以上の船がSoren Larsen のまわりで私たちをよけるためにパタパタと方向転換をしていきました
雨が降っても、風がふいても景色がきれいです
先日あったウェディングクルーズでは雨上がりに二重の虹がでました
エリ