フローティングホテル スカンジナビア
こんばんは。
Spirit of Sailorsぶんごーです。
最近は帆船Amiに乗ることが多いので沼津や三島に行く機会が増えました。
先日はエリちゃんの記事でも紹介しましたがAmiの溜キャプテンに西伊豆を案内してもらいました。
西伊豆は好きで一時期はよく行っていたので久しぶりに色々なところを回れて楽しかったです。
(遊びではなくリサーチですよ・・)
さて先日こんな記事を見かけました。
以前、駿河湾の西浦という入り江に一隻の大型客船が係留されていました。
名前は「スカンジナビア」
元は北欧で作られた美しい客船でしたが1970年からは駿河湾にやってきて、海上に係留されたままホテルとして営業をしていました。
最盛期には年間6万人ものゲストを集めていたらしいですが、景気の悪化や設備の老朽化などによりホテルは閉鎖してレストランのみの営業となっていました。
地元の方々は営業ができなくても現地での保存を望んでいましたが売却を決定。
そして10年前、スウェーデンの企業に売却が決まり、整備のために上海のドッグに向かって曳航されている途中に浸水し、和歌山沖で沈没しました。
ぼくはスカンジナビアを二回訪れたことがあります。
2004年のことでもうホテルとしては営業を止めていたころでした。
一度目は一人で出かけて、面白いと思ったので帆船関係の仲間に声をかけてもう一度出かけました。
レストランとして営業しているエリア以外でも船内の見学ができます。
ロビーとかも豪華だった記憶があるのですが写真はありません。
写真に残っているのはブリッジとかデッキとかそんなところばっかりでした。
まあ、船好きな人の集まりなのでそんな感じですか。
シップベルにご満悦の二人。
別に恋人同士でもなんでもありませんが。
ブリッジ見学で大盛り上がり。
ブリッジも木がふんだんに使われています。
さすがは富裕層向けの豪華客船という感じです。
ブリッジ内でピカール(液体金属磨き粉)を発見して興奮したので、エンジンテレグラフに乗っけて写真を撮ってみました。
この日一緒だったメンバーは帆船「海星」のボランティアクルー仲間で、ピカールは船内の金属を磨くのにいつも使っていたので、見つけただけで大喜びでした。
ちなみにエンジンテレグラフというのはデッキの上にあるブリッジ(操舵室)から船底にあるエンジンルームに、エンジンの出力調整などの指令を伝える機械です。
船のエンジンルームはとてもうるさくて音で指令を伝えることはできません。
エンジンテレグラフの正面にはエンジニアへの指示が書かれています。
前進や後退、微速、全速などなど。
ブリッジでエンジンテレグラフのレバーを指示したい場所まで動かすとエンジンルームにある機械のレバーも同じところに動き、見た目で指示が分かる仕組みになっています。
船好き的にはかなり血が騒ぐメカです。
写真にはありませんがこの時もう、お客さんの目に触れにくい部分はメンテナンスも行き届かない感じでした。
デッキのチーク材もかなり傷みがひどくて見ているだけで少し心が痛みました。
そしてこの約一年後、レストランが営業を終了しました。
売却か保存か検討されましたが、結果は売却、そして沈没という悲しい結末になっていましました。
2013年に帆船Amiの瀬戸内クルーズに参加した時にスカンジナビアの沈没地点を通りました。
沈没した場所の緯度経度は海上保安庁から発表されています。
北緯33度26分58.98秒 東経135度43分33.78秒
海図で位置を確認。
潮岬のすぐそばでした。
「あの辺りです」と溜船長。
何もない海でした。
船に興味を持つずっと前に一冊の小説を読みました。
稲見一良さんの「男は旗」です。
この本は「シリウス」というフローティングホテルが舞台の冒険物語です。
物語の中で売却が決まったシリウスを従業員たちは自分たちの力で動かし、自由の海へと逃げ出します。
小説が書かれたのは1996年。
まだスカンジナビアが繁盛していた頃でした。
そして現実は物語と同じように進み、真逆の結末を迎えました。
もういちど海に還れるはずだったのですが。