受け継いで、引き継ぐ その2

こんにちは。ぶんごーです。

突然ですがぼくはどちらかというとインドア派です。

休みの日とかはどちらかというとひきこもりがちです。

 

でかけることもありますが、たいていはマンガ喫茶とかスーパー銭湯とかで、1日なにもせずにだらっとしてます。これはある意味ではひきこもりです。

 

旅行に行くこともありますが行き先は大抵温泉旅館で、観光もせずに旅館に入り後はチェックアウトまで旅館から出ずに温泉に入ってお酒を飲んで本を読むということだけをひたすらループしています。これもある意味ひきこもりですね。

 

これまで海外には9カ国に行ったことがあります。

韓国、中国、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、オランダ、ハンガリールーマニアです。

日本人の平均よりは少し多くの国に行っているみたいなんですが、半分は仕事で、半分は帆船でです。

お休みなのにわざわざ海外に行くのって、疲れるしめんどくさいじゃないですか?

 

そういう人間なので、外国に興味もそれほどありませんでしたし、30歳まで海外に行こうと思ったことは一度もありませんでした。

 

初めて海外に行ったのは32歳の時。

帆船「あこがれ」の大西洋横断航海にボランティアクルーとして乗船するためでした。

航空チケットだけは代理店に手配してもらっていましたが、たった一人でカナダに渡り、深夜の空港でタクシーを探し、片言の英語ではっきりわからない停泊場所を探して船にたどり着きました。

 

その航海でヨーロッパの帆船たちと出会い、本物の「生きた」帆船と出会い大きく目を開かされました。

そこで感じた思いをエッセイに書いて応募して賞金をもらい、その賞金でまた海外に渡って帆船に乗ったりもしました。

 

帆船に出会ったおかげでぼくの人生は大きく変わりました。

素敵な仲間にもたくさん出会うことができました。

普通の人ができないような体験もたくさんすることができました。

心が震えたり、胸が熱くなるような瞬間にも何度も出会うことができました。

 

今年、ぼくは48歳になります。

帆船に出会って20年が経ちます。

 

正直、もう十分な気がしています。

十分過ぎるほどたくさんのモノを、ぼくは帆船や海からもらってきました。

 

でもね、思うのです。

自分がもらった分をちゃんと他の人にプレゼントしてきたかって。

 

若くてまだ仕事が駆け出しであまり稼げなかった頃、仕事の先輩からよく食事やお酒をおごってもらっていました。

それほど親しくない人におごってもらうこともよくありました。

遠慮しようとする時に言われるのは

「今は気にせずにおごられておけばいい。そしてお前が仕事ができるようになってお金に余裕ができたら、今度は後輩におごってやれ。俺たちもそうだったから」

 

いまここに生きている自分はそれだけではなくて、過去から未来に続く流れの中のひとつのピースなんじゃないか、最近ふとそんなことを考えることが多くなりました。

仕事ではぼくは後輩たちにおごってあげることも多いですし、自分の得た技術やノウハウはなるべく伝えていきたいと思っています。

 

では、帆船は?

 

「セイルトレーニング第一世代」の人たちが築き上げてぼくたちに渡してくれたものを、ぼくはその下の世代に伝えられているのか?

 

ぼくがいまでも帆船にこだわりつづけている理由のひとつはまちがいなくそこです。

自分がもらったバトンを次の世代に渡せなかった心残りです。

まだ帆船に乗ったことのないすべての人に、あなたは人生が変わるくらいの体験をするチャンスをもう一度プレゼントしたいのです。

風を受けて航海をする楽しさを味わってほしいのです。

 

そのためには何が必要か。

帆船を日本の海に定着させるにはどうすればいいのか。

そんなことを考えてぼくたちはSpirit of Sailorsを立ち上げました。

どうか、ぼくたちのチャレンジを暖かく見守り、力を貸してください。

渡されたバトンを未来に繋げるために。