カイの帆船マニアック!NZ編 2話 乗船
「28日ソーレンラーセンに初乗船。やっぱ無理眠すぎるから寝る」
日記にはこれしか書いてない。これだけ?感動の帆船とご対面の日がこれだけ!!
なにしてんの!オレ!
思い出すと、オークランドからファンガレイという町にバスで移動した。日本で友人からドック中の帆船「ソーレンラーセン」がファンガレイにいるって聞いたから。
一応下調べなんかはしていて、日本人の女性がこの帆船で働いていると聞いて事前にメールしておいたんだ。返事は来なかったけどね。
ファンガレイはとても小さい綺麗な街。川に面していて、大きい船は入れるような場所じゃない。
港に行っても帆船なんかいないし、ソーレンラーセンの写真見せて「この船に行きたいんですが」って聞いても誰わからないしで、困ってとりあえず食事。
アイムハングリーって言ったらこれが出てきたのをよく覚えてる
タクシーで聞いたら、知ってる運転手の人がいて連れてってくれることになった。
しかし、金ないからさ、歩いていけるのか聞いていけそうだったので、地図に行き方を書いてもらって歩くことにした。
後から気付くんだけど、NZのタクシーは日本みたいに高くない。乗ればよかった。
ガラガラとバックを引きながら着いたところは街からかなり離れた造船所。
造船所(ドック)の近く。何もないっす。
いた。
上架されたでかい帆船が造船所の外から見える。
おお!でかい!
なんか田舎の国道に突如現れる意味のわからない看板見たいだと思ったのを覚えてる。
門はフルオープンだったから勝手に入って、ズンズン帆船に近づく。背の高いつなぎ着た優しそうな兄ちゃんに「自分の名前を伝え、日本人の女性の名前さんはいますか?」と聞いた。
すごくびっくりしてたけど、「いるよ!待っててね」と呼んできてくれるみたいだ。
この兄ちゃん、あとでわかるんですが一等航海士の人でした。
「はじめまして!メールを送らせてもらったカイです!」
「本当に来ちゃったんだ・・」とその人絶句
「まだ船の人に何にも話してないんだよね」
あ、歓迎されてない。ってすぐにわかった。
しかし、来ちゃったもんはしょうがない。
とりあえず一隻目帆船アタックチャーンス。
日本の帆船の船長に書いてもらった推薦状(英文)を船長に渡してくれるようにお願いし、しばらく待つことに。乗船が渋々?許可されて、ボランティアクルーとして船にご厄介になれることに。
めでたし!!
28日は乗船できたのに何にも書いてないのが不思議だけど、当時は沢山のことがありすぎた日は頭が整理できずに日記を書けない、もしくは話がまとまらないまま鬼のように書き込んだりと、不安定な感じだった。一人も知り合いがいなくて、基本言葉が通じない(英語がまったくできない)ですもんね。
帆船乗るために外国まで勢いできたけど。迷子になったり、長距離バスに乗ったり、とても怖くてドキドキハラハラしてる。買い物するだけで、楽しいし、嬉しいんだけど一人が寂しくっめちゃくちゃ不安!見たいな状態だったな。船にやっと乗れてすごく安心して、嬉しくて、ワクワクで、頭ん中がワーーーってなってたと思う。んで寝たんだと思う。
何はともあれドックで船の整備を手伝うことを条件にご飯と寝床を船の中に手に入れたカイ。無事に一隻目の帆船に乗船することができました。いよいよ帆船生活が始まります。
次回「3話 女ボースン」をお送りします。
これから出てくる帆船「ソーレンラーセン」についてご説明
SOREN LARSEN
長さ 145ft
デッキ 105ft
ビーム(幅) 25ft6
ドラフト(深さ) 11ft3
高さ 98ft
1949年デンマークにて建造 木造船
リグ ブリガンティン
船籍 イギリス
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