カナダ・バンクーバーガルフ諸島ヨットの旅⑦最終回

カナダ・バンクーバーガルフ諸島ヨットの旅⑦

 

「今日はそんなに急ぐ距離じゃないからみっちり座学をやるよ」

朝、インストラクターのボブさんから投げかけられた言葉。

 

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座学好き!ヨットのこと、もっと知りたいと思い始めていたのでなんだか嬉しい。

しかしやり始めたのは潮汐計算。潮の満ち干で水深は常に変化しているそいつを正確に教えてくれるのが潮汐表。

カナダにももちろん潮汐表があり、計算すると自分の知りたい場所・時間の水深、満潮・干潮時間を知ることができる。

大型の船で航海士経験のある僕には馴染みのある世界。あぁー新しいことをやりたかったなー・・・

 

なんて思って計算を始める・・・わからない・・・なんで?

 

計算の仕方が違う、潮汐表の使い方が違う。

 

こりゃいかんと頑張って計算を!と思ったら計算ではなくて表から数字を拾えるようにできていた。

合理的にできてる。日本の潮汐計算てどんなだっけかと思い出そうとしたけど今入ってきたカナダ潮汐情報が邪魔してうまく思い出せない。

もっときちんと真面目に勉強をしておくべきでした。。。

お世話になった船長の皆さん教えてれくれた先輩航海士の皆さん、本当にすみません。もっと勉強します!

 

午前中、目一杯座学を行う。頭から湯気が出そう。

 

外に出るとキリッとした空気が気持ちよくて、気分がスキッとする。頭の中も整理され、今覚えたこともキリッと整理されてどっかいった。

ボブ先生、体で覚えるタイプの僕を許してください。

 

出港だ!

 

 

嬉しい。天気も悪くない。風は一切ない。アンカー(錨)の打ち方について2時間ほど実技を交えて講義。大型船と全く違うアンカーの打ち方に新鮮な気持ちになる。用語はカタカナばっかりでややこしいと思った。

 

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アンカーの打ち方も一通り終えて、船が忙しく行き交うバンクーバーはイングリッシュベイを慎重に出港する。

橋をくぐり、広い海域に出る前にエンジンが止まった・・・

 

まじ?

 

風はない。

 

インストラクターのボブさんは冷静に数秒考えてから「アンカーを打とう」「水深は?」と素晴らしい判断。

すぐに舵を握っていたイトウさんが9mと応答する。

「このまま惰性でもう少し浅瀬の方に近づいてアンカーを打とう」

すぐにアンカーを準備してアンカリング。

 

これでまず船は安心な状態になった。

 

エンジンを点検する・・・・

症状を確認する・・・・

 

「せっかくのいい機会だからエンジンの緊急対応について抗議しながら進めよう」とボブさん

 

なんだかその余裕のある雰囲気にこちらも安心して「こんな機会を楽しもう」という気がしてくる。

 

自分の船じゃ、まずこうはならない。

 

インストラクターって大切だなーと感じながら。エンジンの冷却系統・燃料系統について順にトラブルを追っていく。

 

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エンジンが止まった理由がわかった。燃料フィルターの詰まり。フィルターにかなりのスラッジ(かす)が溜まってる。

うーん。これか!見つけた嬉しさでテンションが上がる。

フィルターを交換して、ラインの空気を抜く。無事にエンジンが息を吹き返した。

 

思わぬトラブルだったけど本当に良い経験になった。言動・雰囲気一つで参加している人を不安に落とし込んでしまうこともあり、安心させることもできるインストラクターの在り方を強く感じたできことだった。

 

目的地は昨日行くことを断念したボーエンアイランド。良いパブがあるらしいというだけで気分は高まる。

 

途中、アザラシを数匹見た(気分が高まる)、山は迫り来るようでとても良い景色だ(気分が高まる)。

 

風がないので全てエンジンでゆく。あっという間にハーバーについた。

 

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ハーバーにはたくさんのヨットが止まっていて絵本に出てきそうな小さな港町。

 

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着替えを済まし、パブに繰り出す。

 

これが楽しみってもんだぜ!

 

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パブに着くと雪がしんしんと振りはじめ、外の景色がどんどん雪で白くなって行く、暖炉に火が入り、本当に静かな景色。

航海を共にした仲間とビールを飲み、美味しい食事を共にする。本当に最高の時間だ。

 

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パブのトイレには地元のヨットクラブのものだと思われるフラッグが描かれたタイルが。

 

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もう、明日で航海が終わるんだな。終わってほしくないような・・・そんな気分。

同時に便利で快適な陸の世界を楽しみにしている自分。

帰る場所がきちんとあるから、もっとこの世界に浸っていたいという思いがこみ上げてくる。

 

陸ではお金を払えば大抵のことは経験ができる。海での経験というものはお金をいくら払っても自分自身が大自然に飛び込まない限り絶対に体験できない。

 

相手が自然だから、全く同じ経験、同じ航海は二度と再現できない。

だから僕たち航海を経験した人間は自分の大切な体験としてその航海や、海での思い出を強く記憶に刻み込む。自慢話みたいな話も多くなっちゃう。それでいいと思う。自慢の冒険談をたくさんできるような人生って素敵だ。

 

航海を一緒にした仲間は何年経っても一瞬で元に戻れる。そこには年齢も、性別も、経験があるとかないとか、陸でどんな肩書きとかは全く関係ない、人間が生で人間と付き合える、そんな力が海にはあると僕は持っている。

 

 

日本に帰って僕は日本の海でこの感情を体験できる世界を作ろうと思った。それは日本だけとかそんなものではなくて、カナダとももちろん繋がっていて日本の海でヨットやセーリング、帆船の航海を経験した人が「カナダも行きたい!冬に行きたい!」てなるような体験、みんなに帰って自慢したくなるような体験を提供したい。

 

 

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人生は航海だ。人生を冒険しよう。

 

そんな気持ちになれる体験をもっとたくさんの人に広めていけるように、僕たちスピリット・オブ・セイラーズは海への入り口を開けるように進んでいきます。

 

 

とりあえずカナダでの航海のお話はこれでおしまい。

たくさんの人に読んでもらえてとても嬉しいです。

この後、帰りの航海は大雨で散々だったことや、バンクーバー観光の話、ボブさんのお家でみんなでおもてなしされた話はまた機会があれば。

 

海に出て見たいという人、カナダに行って見たい人、僕らの活動に興味がある人いつでも気軽に連絡をください。

 帆船バカ カイ

 

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僕たちは海への入り口を作りたい、海で冒険できる世界を作りたいと活動しています。

ISPAのヨットでガルフ諸島セーリングに興味のある方、参加してみたいという方は是非ご連絡ください。

 

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