第1話 挑戦【Ocean College 伊豆半島~三崎編】 

【Ocean College 伊豆半島~三崎編 OC01 】

 

f:id:spiritofsailors:20191209132511j:image

 

11/21 挑戦

 

11月も半ばを過ぎ、冬型の気圧配置になる前に関東の太平洋側は高気圧により安定しているはずだった。この日、僕らは北からの強風が吹き上がることを予想して予定よりも早く下田港から相模湾の南側を完全な向かい風の中を三崎港を目指して北上していた。この機会を逃すと、あと二日間は海に出られないくらい北風が強くなる。

出港するときも、爪木埼をかわした時点で波がデッキを洗い、かぶるようなら下田港に引き返すことを朝の出港前ミーティングで申し合わせていた。

幸い、波はまだ高くなく十分に航行できると判断して、北上を始めたが、北東風は少しづつ強くなり午後にはかなり吹き上がる予報だった。予報を気にして北東の針路は取らず、伊東港を目指し真北に向けて針路を定めた。

これで最悪、北東風が予想をうわまって吹いても伊東港に逃げ込める。

 

今回の航海は僕たちスピリット・オブ・セイラーズの帆船で世界の海を旅するスキルを学ぶプログラム「オーシャンカレッジ」の最初の航海。下田から乗船したプログラム参加者は2名。ウラノさんと、バーさん(ニックネーム)。

 

f:id:spiritofsailors:20191209132726j:image

 

「オーシャンカレッジ」は駿河湾を舞台に数日の間帆船のクルーとして乗船し、海のこと、船のことを学び、オーストラリアの建造から100年の大型木造帆船、カナダでのセーリング留学、スウェーデンのバイキングシップなど海外の帆船にクルーとして留学できる制度や、国際セーリング技術認定団体であるISPAの帆船コースのサーフィティーケート(認定資格)も取得することができる新しい海洋体験プログラム。

帆船は現代のヨットと違い、セイルの操作や操船にかかる手間が簡略化・効率化がされていない。まず帆の枚数が多い。小型の帆船Amiでもセイルは8枚もある。その分仕組みは複雑だ。

しかしいざ動かすとなれば難しいことはない。ウィンチはないので力が足りなければ仲間を呼ぶ、ジャマーもないのでビレイピンと呼ばれる木の棒にロープを止める、ロープの色分けもされていない。簡単で単純だと思う。

そんな船で数日間、仲間ととも一本ロープを力を合わせて引き、船を動かし、海のこと学び、食事を作り、夜はゆっくりと語らい合う。まるでキャンプ旅を海の上で行なっているように、目的地を目指し航海をしていくことになる。この数日間はきっと海の新しい世界への挑戦の扉を開いてくれる。

 

この「オーシャンカレッジ」というプログラムをずっと開催したくて何年も僕らは準備をしてきた。そんな中、僕たちが加盟している、同じISPAの修了生が集まるヨットのイベント「三崎フローテラ」に帆船Amiが参加することになった。ISPA初心者からヨットのセーリング技術を学べるプログラムを開催していて、多くの修了生を輩出している。その理論的なプログラムは僕らも海を渡る技術を伝える側として多くのことを学ばせてもらっている。ISPAには今年から加盟している新参者なので、はっきりって知っている人がほぼいない。名前と顔が一致している人は4、5人程度、しかもヨットのコース修了生が集まるイベントに帆船で参加するなんて、本当にみんなが喜んでくれるだろうかと、少し不安がある。

 

f:id:spiritofsailors:20191209133119j:image

 

相変わらず北東からの風は強い。伊東港が近づくにつれ、少し波が穏やかになったので、針路を変更し三崎に船を向けた。しばらくすると、船の速力がぐんぐん上がり始めた。大島の北側に流れる潮流に乗れた。しかし今度は潮流と風が逆で波がドカドカと船を翻弄する。まるで木の葉みたいに船が揺れた。

僕は昔から船に弱くて、船酔いがひどい。尊敬する船長から「大丈夫。偉大な船乗りネルソン提督も船に弱かった。君も立派な船乗りになれるよ。」という言葉を信じてここまで船で仕事をしてこれたけど、船酔いするたびに毎回「なんでこんな仕事を選んでしまったのか・・」と後悔する。

 

はっきりいって地獄だ。

 

けれど心配しないでほしい。

 

船酔いを超えた、、、素晴らしい経験が海できっとあなたを待っている・・・!

 

おえーーー。

 

大丈夫・・・!

 

涙で伊豆大島がにじむ。伊豆大島は大きくてキレイだ。(いい加減、遠退いてくれ)

 

f:id:spiritofsailors:20191209133009j:image

 

プログラムに参加のウラノさんもきっと船酔いに苦しんでいるんじゃないかと申し訳ない気持ちで様子を伺っていると、なんと今回のテキストを片手に予習している!なんと勉強熱心!!

 

f:id:spiritofsailors:20191209132933j:image

 

交代で舵を取りながら、帆船のこと、見張りのこと、当直交代を告げるタイムベルのことなんかを話しながら船は順調に三崎に進んでいく。

 

やっと大島をスターボードのボートダビットに構えたあたりで、三浦半島を捉えた。もうすぐだ。

 

f:id:spiritofsailors:20191209133151j:image

 

だんだんと三浦半島が大きくなり城ヶ島がはっきりと姿を見せてくれきた。時間があれば、港に入る前にセイルを張り、帆走の実習を行いたかったけど、到着が遅れたのでそのまま入港することに。

城ヶ島は西側と東側に入口があり西側の方が距離的には近いけれども、航路ブイの勉強や、城ヶ島の沖をゆっくりと眺めてみたいということで、東側の航路から入港することにした。

 

無事に三崎港に到着!

 

f:id:spiritofsailors:20191209132656j:image

 

まだプログラム初日だというのにみんなでこの笑顔。何かを同じ目的を持った仲間と成し遂げることはそれだけで素晴らしい冒険体験を体感できるのじゃないかと思えた。

 

f:id:spiritofsailors:20191209133228j:image

 

Ocean College 伊豆半島~三崎編の様子▼


帆船で大航海 伊豆半島を目指す!

https://youtu.be/iKkHGWKk7cA

 

カイ 

 

 

⚓︎ スピリット・オブ・セイラーズチャンネル

スピリット オブセイラーズ - YouTube

www.youtube.com

 

⚓︎ 帆船を使った貸切プログラムへのお問い合わせはこちらから

帆船Ami貸切 お問い合わせ

   

⚓︎ 「日本の海を面白くするリスト」でスピリット・オブ・セイラーズを応援!

www.amazon.jp


 

⚓︎ 活動やイベントの先行は⬇︎ 

 🌊Spirit of Sailors 公式LINE🌊

登録ボタン  LINE Add Friend