誰にでも初めての冒険がある
2カ月近い船の整備を終え、現在シドニーに向けて航海中のエリです!
航海途中に激しいストームにあい、12時間かけて近くの湾まで引き返して、一昨日から静かな湾の中で風が追い風になるのを待っています
今はちょうど夜中の3:00
アンカーとビルジ(船底に溜まってくる水)を汲み出す当直中で、ちょっとヘロヘロになりながらやっと二カ月書けなかったブログを書いています
この二カ月の間、毎日10時間の整備、休みは2日間
一見(?)ブラック企業条件下での整備ですが、パイレーツオブカリビアンに自艇を貸している人にリギンワーク(マストやロープ、滑車などに関わる整備)を教えてもらったり、映画「白い嵐」の船の持ち主と航海をしたりと、伝説と言われるような人たちと働き新しいことと出くわす毎日です
特に、マストを削り直して全てオイル仕上げにしたり、マストに登るためのシュラウド(ハシゴ)を新調してタールで黒く塗ったり、抜いたマストを戻してテンションをかけて船のバランスを見たりと、整備をする程今まで見えてなかった船の構造やあり方が見えるようになってくるようです
そして最初の写真で船の下で船を押しているのが、それを教えてくれた師匠
真似したポーズで師匠にとってもらったのですが師匠が近寄りすぎです
この整備期間では私の英語力が減退!
ある程度やることが決まっていたクルーズとは違いフリートークの続く整備現場では聞き取るのが大変でした
うまく話せないぶん行動でみせるしかないと思いながらすごしていたのですが、整備がおわり船を海に戻してマストを差し戻した時、師匠や船大工の人が「エリが登ってワイヤーを取り付けてこい!」と言ってくれた時には二カ月の仕事への返事をもらえたような気持ちになりました
リギンワークを知れば知るほど、自分のことをリガー(リギンワークをする人)とは呼べない...という気持ちになるのですが、リガーの人が「これはリガーが必ず持っているものだ」と言ってビニールテープをくれた時には感激しました
ここまでであった2日の休日のうち、1日はサイクロン直撃で船内でおやすみ
そしてもう一日は友人が日本からわざわざオーストラリアまで訪ねてきてくれました
友人にとっては初めての海外1人旅
そんな旅先に選んでもらってうれしく、そして誰にでも初めての冒険があるんだなとその時おもいました
私は震災の後に、人はいつ死ぬかわからないしやりたいことをやって失うものもないと思い色々なことに飛び込んでいるうちに、幸運に帆船に出会いいつの間にか冒険を続けています
初めての冒険がなんだったかよく思い出せませんがもっと腰が重かったような気がします
シドニーに帰ったら、誰かの楽しい初めての冒険になるような帆船への招待を考えられたらいいなと思っています
まずは無事シドニーに帰らなければ(笑)
エリ